〜元出版流通業者の「本と周辺の話」① 「出版取次3位大阪屋、ついに楽天の傘下に」

2014-11-19

 週刊東洋経済2014年11月8日号に掲載された記事の紹介です。

 〜大阪屋ではこの10月28日に臨時株主総会が開かれた。楽天は出資比率が35.19%を拠出し、ついに筆頭株主となった。楽天は大阪屋の物流部門を分社化し、新たに「大阪屋ロジスティクス(OSS)」を設立する。ネット書店部門である楽天ブックスが自社の物流拠点であるRFC川西(兵庫県川西市)と連携し、Amazonに対抗できる体制作りに取り組んでいくという〜

東洋経済201411.8 3

 楽天のことについてはご存知の人が多いと思うので、まずは私が長年サラリーマンとして過ごした出版取次の大阪屋と出版取次業界について語ってみたいと思います。

 関西を拠点に置く取次(卸)業者で、本社はこの4月まで大阪市西区(現在は東大阪市徳庵にある物流センターが本社)。90年代初頭に入社しましたが、当時から出版取次のシェアの70〜80%はトーハン(当時は東販と呼んでいた)・日販。この2大取次が独占しており、一応大阪屋は業界第3位です。その辺りは今も昔もほとんど状況は変わっておりません。

 私は大阪屋入社時、新規書店の企画・開業支援をする「開発企画部」というところに所属していました。ここでさまざまな書店を見てきました。
 この時期の書店業はいわゆる「郊外型店舗」が全盛で、郊外の幹線道路沿いに出店するのが主流でした。バブルで都心の賃料が高騰し、それを避けるかたちで他の外食店などとともに書店が出店されるという有様でした。大阪屋取引の書店でいえば、北大阪の田村書店や南大阪のパルネット、東大阪のヒバリヤ、兵庫県・播州地域のうかいやなどの地域チェーン店が幅を利かせる感じでした。

 90年頃、出版業界は書籍・雑誌の総売上が2兆円程度で、ちょうど躍進していたダイエーグループの市場規模と同じくらい。バブル崩壊後は出版業界は不況に強い業種と呼ばれていました。しかし戦後から続く右肩上がりの出版市場は96年をピークに、そして97年から現在に至るまでずっと下がりっぱなしです。いわゆる「出版不況」は18年も続いています。

 93〜95年頃、出版取次業界は屋台骨である倉庫・伝票起票・配送の物流部門が全面的に情報システム化していきます。大阪屋では95年12月、東大阪市徳庵に巨大物流センターの関西ブックシティ(KBC)が稼働します。大阪屋でもロジスティクスの概念が導入され、3K業種と呼ばれた仕事も近代的かつ効率的なものに変貌していきます。

 当時から大阪屋のメイン取引先であるジュンク堂が全国展開を始めたのが94〜99年頃でした。バブル崩壊で都心の物件の賃料が下がっていたこの時期に、全国規模で500〜1500坪程度のメガ書店を次々と出店、今や不動のナショナルチェーン店の地位を揺るがないものにしました。ちなみに大阪屋社内では「ジュンク堂を育てた大阪屋」なんて会話も飛び交いました。
同時期に阪急が書店業に進出。ブックファーストとして大阪屋と取引を開始、後に首都圏に出店攻勢をかけていきます。

 黒船のAmazonが上陸したのが2000年。この時日本ではトーハンとタッグを組んだネット書店「イー・ショッピングブックス」(現在のセブン&アイ→セブンネットS)がすでに始動しており、Amazonはライバルの日販に打診するも、当時は日販が経営危機。そして第3位の大阪屋にお鉢が回ってきたという状況でした。大阪屋とAmazonとの取引の実質稼働が2001年。ジュンク堂・ブックファーストの躍進に加え、安定企業「元気な大阪屋」と呼ばれ、世間では一定の評価を受けていたのである。

  東洋経済2014楽天大阪屋 2

 その大阪屋がついに楽天経済圏に入るそうです! 2013年6月には「楽天が大阪屋を買収する」という話が急上昇し、結局既存の株主である大手出版社(講談社、小学館、集英社など)が阻止した形となったが、今回の臨時株主総会ではAmazonの日本の出版業界の制覇を阻止するという利害が一致し、楽天が筆頭株主となったらしい。

 OSSを拠点にして今以上に楽天ブックスを効率アップさせ、さらには書店で楽天マートの商材を受け取りするなど、「楽天のコンビニ&書店化」を目論んでいるみたいです。おそらく電子書籍の楽天Koboを大阪屋と取引のある書店で店頭販売し、書店と楽天Koboをタイアップして共生を図るという狙いもあるのではないでしょうか?

‥‥大阪屋をはじめとした「元取次視点の出版流通の話」は今後もアップしていく予定です。


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