~元出版流通業者の「本と周辺の話」④ 「会社員時代~業界第3位の㈱大阪屋」

2015-01-04


 私が会社員時代を過ごした出版取次業界第3位の㈱大阪屋について少しお話しします。

 出版物の卸売業である出版取次業界はトーハン、日販(日本出版販売)の二大大手でシェア70%以上という、きわめて寡占状態にある業界です。その中でも関西系の取次として一時期息巻いていた会社が㈱大阪屋でした。

 バブルからバブル崩壊の頃は周囲から「3K企業、激安給料の会社」、「大阪屋? お菓子屋ですか」、「関西ローカルのベタな会社」などと揶揄されてきました。

 平成大不況の頃からは停滞する他業種などを尻目にAmazonとの取引開始、ジュンク堂・阪急ブックファーストの全国展開の後押しなど、安定企業として出版業界でそれなりに名をとどろかせていました。

 しかし、いい時代はそう継続するものではありません。2008年夏に取引先の明林堂書店の民事再生法、関西洋販の経営破たんを受け、経営に綻びを見せ始めることに。2012年春のAmazonの日販へのメイン取引移行、その年の12月のトーハンのブックファーストの買収などで追い討ちをかけられます。あとはこのコラムの1回目で述べたとおりです。

 いつまでも業務改善・コストダウンにとらわれず、成長戦略を持つべきでした。その結果が2013年春の大阪屋東京支社の売却、そしてこの本社売却です。


2014-11-15 14.32.25  昨年11月上旬に訪れた大阪市西区新町にある旧本社屋。昨春に買収が決定し、マンションに建て替えるらしいです。青春時代(?)を過ごした場所だけに複雑な思いが頭をよぎります。


186-01                  これが在りし日の旧大阪屋本社屋。
    転載元~【OSAKAビル景】(http://bb-building.net/tatemono/osaka/186.html)

 ここは何度も増改築が行われたため、モザイクのような外観です。屋内はまるで迷路のようでした。私は入社時から約5年、ここで勤務していました。その後は東大阪市稲田町(JR学研都市線徳庵駅界隈)の巨大物流センター・関西ブックシティ(KBC)の立ち上げ時に転勤、そして退職までKBCで勤務していました。

 現在は本社機能がKBCに移転、現在に至っています。

 この旧大阪屋本社は大阪市営地下鉄御堂筋線心斎橋駅から長堀通りを西へ徒歩5~6分、四つ橋線から徒歩3~4分、そして長堀鶴見緑地線西大橋駅を北へ1分のところにあります。戦前は芸妓さんたちが舞を披露する「新町演舞場」としてにぎわっていたそうです。戦後、日本出版配給株式会社から分離した大阪屋が社屋として使用していきます。
 建物南東隅に当時の玄関を保存、赤レンガの外観はネオクラシカルな雰囲気を醸し出していました。その他は増改築がすすんでおり、戦前の面影は殆ど残っていません。たしか入社した年に、赤井秀和主演の映画「王手」(阪本順司監督)の玄関口をロケ地に使用していたのを思い出します。


2014-11-15 14.27.14 旧本社屋前にある公園前の掲示板。社員の方は休憩時間にこの公園でキャッチボールなどしていました。

2014-11-15 14.29.32
2014-11-15 14.26.30     取り壊しの様子、両側面から。建物の半分ほどが残っています。見るも無残な姿(?)です。


 私は入社時は「開発企画部」という新規書店開業の企画・支援の部署に所属していました。次に営業部で奈良・和歌山・山陰などの書店のリテール・サポートを担当。その後は物流系の部署に異動、商品管理(要は倉庫です)の学参・辞典担当を勤めました。続いてジュンク堂、ブックファースト、アバンティや旭屋書店などの大型書店の起票整品部門、そして再び商品管理部門で文庫~実用書の担当というのが私の大阪屋勤務時代の流れでした。

 今もひっくりかえるような思いです。そして現在、この出版取次の大阪屋への思いを葬るためにもこのコラムを書き記していきたい次第です。




コメントを書く







コメント内容



お問い合わせはこちらから