~元出版流通業者の「本と周辺の話」③ 「出版取次ってなに?」

2014-12-29

    

世間一般ではあまり表にでない「出版流通のコントロールタワー」、出版取次業(取次)について焦点を当てたいと思います。


 出版販売会社とも出版販売商社と呼ばれることもあります。

 要は他業種でいうところの「問屋・卸売」にあたります。他業種の卸売は倉庫を持ち、物流をメイン機能に置いたりしますが、取次業者は一味違った側面を持っています。以下の4つの機能があります。


【物 流 機 能】

各出版社の既刊本の倉庫、新刊本の仕分け・配送・返品業務


【金 融 機 能】
    

書店へ納品した商品の代金回収、版元への支払い


【情 報 流 通 機 能】

ITインフラで新刊書誌データや書店での販売状況を集約、書店~出版社と相互に情報提供。

最近ではSCM(サプライチェーンマネージメント)と呼ばれた戦略を行い、情報精度向上につとめている。


【仕 入 配 本 機 能】
  

新刊本の仕入および配本


その他、書店の新規店企画・開業支援も取次主導で行います。



 ‥‥なかでも特異なのが【仕入配本機能】です。

 出版社が取次業者の東京の仕入窓口で新刊の部数交渉を行い、各取次ごとの部数を決定します。取次は直ちに全国の書店に割振り(新刊配本)し、配送します。これが取次が一方的に配本・送品し、書店が返品可能な委託送品というシステムです。

 全国に出版社約3600社、書店約14000店に対し、取次40社。取次は大手2社のトーハン、日本出版販売(日販)が全国の書店との取引のシェアの75%以上を握っています。

 多数の出版社と書店を少数の取次が流通を動かすという、いわゆる瓢箪型の流通構造になっています。

 悪い言い方かもしれませんが、取次大手2社などは出版社や書店に対して強い支配力を持っています。このあたりが出版流通のコントロールタワーと言えるところかもしれません。

 ちなみに主な取次業者の株主は講談社・小学館・文芸春秋・新潮社・学研・旺文社・光文社・KADOKAWA(角川書店グループ)・集英社などの大手出版社であり、これまで取次の経営に影響力を及ぼしていました。最近では大日本印刷や楽天など異業種が株主として名を連ねています。株式は一般公開されていません。取次は出版流通のコントロールタワーでありますが、大手版元が牛耳っているというのも言いすぎではありません。


 ≪取次の物流機能の特性について≫

 たとえば従業員10人程度の零細出版社からベストセラー商品が出るとしましょう。全国14000店からの補充注文に対応できるでしょうか?電話やFAXなど無数の注文には到底受け付けることができません。

 取次業者は自社の物流センターからその商品を翌日に書店に届けることが可能であり(最短なら昼イチ発送、昼間に配達可能)、しかも取次の営業マンが責任を持って対応できるのが強みといえます。取次の物流センターにある倉庫は3600もの出版社の既刊本の在庫管理に対応できるのです。

 出版物の販売金額は新刊が2~3割、既刊が7~8割といわれます。物流センターの倉庫にある既刊(補充注文品)をピッキング(出庫)して起票・梱包・発送します。
 雑誌・新刊・注文品(既刊の補充注文)のカテゴリーに分かれた配送業務は取次業者と契約している運送業者が定期的に配送しています。

 大手家電メーカーなら販売会社(販社)を持っていて、【大手メーカー一社→販社(傘下、あるいは系列の卸売会社)→小売】というスタイルで物流機能を担っています。しかしながら出版取次業は従業員10人以下が半数を占める出版社の商品の流通を支えます。ここが物流機能としての醍醐味です。

 一例をあげると、出版取次第3位の大阪屋では取引先であるジュンク堂書店の各店舗に大阪屋の社員2~3人の営業担当者がついています。大阪屋の営業マンは毎日午前中に書店訪問、物流センターから配送した商品の検品作業、その他諸々のよろず請け負い(リテール・サポート)を行います。こういった物流機能+リテールサポートの業務が取次の持ち味ともいえます。


 ≪流通ルートについて≫

 基本的には「取次・書店ルート」が出版業界の大動脈となっています。出版物の売上のおよそ70%を占めます。現在、町の書店(地場書店)はジュンク堂などのメガ書店などに顧客を奪われ、ずっと地盤沈下の状態にいます。

それ以外には

「コンビニ(CVS)ルート」 週刊誌などの雑誌販売がメインで、販売金額はおよそ13%。

「ネット書店ルート」 いわずと知れたAmazonや楽天ブックスなどの販売ルート。推定ですが、売上の10%を占めます。

  その他では「教科書ルート」、「図書館ルート」、「即売ルート」

などがあります。




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