12月, 2014年

 ~元出版流通業者の「本と周辺の話」③ 「出版取次ってなに?」

2014-12-29

    

世間一般ではあまり表にでない「出版流通のコントロールタワー」、出版取次業(取次)について焦点を当てたいと思います。


 出版販売会社とも出版販売商社と呼ばれることもあります。

 要は他業種でいうところの「問屋・卸売」にあたります。他業種の卸売は倉庫を持ち、物流をメイン機能に置いたりしますが、取次業者は一味違った側面を持っています。以下の4つの機能があります。


【物 流 機 能】

各出版社の既刊本の倉庫、新刊本の仕分け・配送・返品業務


【金 融 機 能】
    

書店へ納品した商品の代金回収、版元への支払い


【情 報 流 通 機 能】

ITインフラで新刊書誌データや書店での販売状況を集約、書店~出版社と相互に情報提供。

最近ではSCM(サプライチェーンマネージメント)と呼ばれた戦略を行い、情報精度向上につとめている。


【仕 入 配 本 機 能】
  

新刊本の仕入および配本


その他、書店の新規店企画・開業支援も取次主導で行います。



 ‥‥なかでも特異なのが【仕入配本機能】です。

 出版社が取次業者の東京の仕入窓口で新刊の部数交渉を行い、各取次ごとの部数を決定します。取次は直ちに全国の書店に割振り(新刊配本)し、配送します。これが取次が一方的に配本・送品し、書店が返品可能な委託送品というシステムです。

 全国に出版社約3600社、書店約14000店に対し、取次40社。取次は大手2社のトーハン、日本出版販売(日販)が全国の書店との取引のシェアの75%以上を握っています。

 多数の出版社と書店を少数の取次が流通を動かすという、いわゆる瓢箪型の流通構造になっています。

 悪い言い方かもしれませんが、取次大手2社などは出版社や書店に対して強い支配力を持っています。このあたりが出版流通のコントロールタワーと言えるところかもしれません。

 ちなみに主な取次業者の株主は講談社・小学館・文芸春秋・新潮社・学研・旺文社・光文社・KADOKAWA(角川書店グループ)・集英社などの大手出版社であり、これまで取次の経営に影響力を及ぼしていました。最近では大日本印刷や楽天など異業種が株主として名を連ねています。株式は一般公開されていません。取次は出版流通のコントロールタワーでありますが、大手版元が牛耳っているというのも言いすぎではありません。


 ≪取次の物流機能の特性について≫

 たとえば従業員10人程度の零細出版社からベストセラー商品が出るとしましょう。全国14000店からの補充注文に対応できるでしょうか?電話やFAXなど無数の注文には到底受け付けることができません。

 取次業者は自社の物流センターからその商品を翌日に書店に届けることが可能であり(最短なら昼イチ発送、昼間に配達可能)、しかも取次の営業マンが責任を持って対応できるのが強みといえます。取次の物流センターにある倉庫は3600もの出版社の既刊本の在庫管理に対応できるのです。

 出版物の販売金額は新刊が2~3割、既刊が7~8割といわれます。物流センターの倉庫にある既刊(補充注文品)をピッキング(出庫)して起票・梱包・発送します。
 雑誌・新刊・注文品(既刊の補充注文)のカテゴリーに分かれた配送業務は取次業者と契約している運送業者が定期的に配送しています。

 大手家電メーカーなら販売会社(販社)を持っていて、【大手メーカー一社→販社(傘下、あるいは系列の卸売会社)→小売】というスタイルで物流機能を担っています。しかしながら出版取次業は従業員10人以下が半数を占める出版社の商品の流通を支えます。ここが物流機能としての醍醐味です。

 一例をあげると、出版取次第3位の大阪屋では取引先であるジュンク堂書店の各店舗に大阪屋の社員2~3人の営業担当者がついています。大阪屋の営業マンは毎日午前中に書店訪問、物流センターから配送した商品の検品作業、その他諸々のよろず請け負い(リテール・サポート)を行います。こういった物流機能+リテールサポートの業務が取次の持ち味ともいえます。


 ≪流通ルートについて≫

 基本的には「取次・書店ルート」が出版業界の大動脈となっています。出版物の売上のおよそ70%を占めます。現在、町の書店(地場書店)はジュンク堂などのメガ書店などに顧客を奪われ、ずっと地盤沈下の状態にいます。

それ以外には

「コンビニ(CVS)ルート」 週刊誌などの雑誌販売がメインで、販売金額はおよそ13%。

「ネット書店ルート」 いわずと知れたAmazonや楽天ブックスなどの販売ルート。推定ですが、売上の10%を占めます。

  その他では「教科書ルート」、「図書館ルート」、「即売ルート」

などがあります。



 ~元出版流通業者の「本と周辺の話」② 「再販制と委託販売制」

2014-12-24

 出版業界の基本について語りたいと思います。

 出版業界の他業種との違いで最大の特徴なのが、「再販制」と「委託販売制」。

 書籍・雑誌などの商業出版物は文化産業という建前のもと、出版社や書店を保護する意味で再販制と委託販売が成立しています。


    【再販制(再販価格維持法)とは?】

 メーカー的立場の出版社(版元)が、在庫リスクのある出版社が値付けを行うことになっており、小売業者(書店)は価格設定ができないことになっています。

 スーパーやコンビニ、百貨店などの小売業は値付けが可能で、ポイント制度・景品などでさまざまな価格戦略を打ち出せますが、書店は基本的にそれができません。しかしながら近年楽天ブックスのポイント割、紀伊国屋、HONTO(丸善&ジュンク堂系)などのポイントカードがあり、有名無実化しています。


   【委託販売制とは?】

 出版社(版元)が卸売業者(取次業者)に仕入れ交渉し、部数を決定します。これは版元のほとんどが首都圏に集中するため、ほぼ東京で行われます。取次業者は全国の取引先書店に割振り(新刊配本)し、送品します。

 要は取次業者が一方的に、勝手に処理するということです。その見返りに書店は本を返品することができます。これが委託販売制度です。

 取次は送品分の金額を書店に請求しますが、返品可能なため、代金の請求は送品分と返品分を後日相殺する形となります。

 この返品システムのコスト削減が長年の取次の問題、そして出版業界全体の課題とされてきました。
 とはいっても返品できない例外もあります。「買切」といって岩波書店や理工系・医歯薬系の版元などがそうです。

 この委託販売制のため返品も可能だし、読者からの注文もキャンセルされると返品できるので、正直ゆるい配送体制となっています。このあたりが他業種に比べ、ぬるま湯体質を産んできたと指摘されます。しかし文化産業はゆとりのないところではあまり発展しないものともいわれます。

 この委託販売と返品制度がずっと賛否両論を呼んでいましたが、業界にとってこれを崩すのは「パンドラの箱」と言われて久しい状況といえます。


 【そんな中での書店経営の戦略はいったい?】

 書店の経営の差別化は長年「立地・ロケーション」、「品揃え」、「内装・外装・レイアウトなど店舗の雰囲気」、「郊外型店舗なら駐車代台数など」のみに大きく左右されると言われてきました。もちろんいろんな仕掛けや接客力なども大事でありましたが、さほど重視されていなかったかもしれません。

 出版不況の波が平成大不況の同時期の1997年に押し寄せてきます。町の書店の閉店ラッシュの始まりです。
 その中で、POPや文脈のある棚作り、外商に力を入れ工夫を施した書店が登場しますが、抗えない状況がすでに18年も続いています。


基本的なマージン(正 味)        出版社 (70%)   700円
                      取 次 (8%)    80円
                      書 店 (22%)   220円
小 売 価 格                         1000円(税別)


 ご覧のように書店も薄利、取次業者も思い切り薄利といえます。版元が利益を吸い上げるように見えますが、返品という在庫リスクを背負っているため、こういう構造になっています。

 町の書店さんはドンドン閉店に追い込まれ、ブックオフなどの新古書店、メガ書店の台頭、図書館の利用の拡大、さらにはネット書店の登場によって追い討ちをかけられてきました。

 90年代初頭のバブル崩壊の頃、日本の出版業界全体は「不況に強い安定業種」と呼ばれて、1996年の2兆6500億円市場になるまで伸び続けます。

 町の書店は先述のように薄利多売な上にゲーム機・携帯電話・インターネットなどのライフスタイルの変化や生産年齢人口の変化に対応できず、衰退の一途をたどることになります。

 本はいわゆる嗜好品であり、生活必需品ではないので、このような事態をさけることはできません。結局長年の安定業種ということにあぐらをかいていたのでしょう。

 また再販制と委託販売制が出版業界全体に硬直化をもたらしたものと考えられます。90年前半に制度疲労の予兆があったのかもしれません。

 出版業界全体もいつまでも「出版不況、原因は一体?」と叫ばず、このあたりをはっきり認識すべきです。柔軟な変化を考えないといけません。いや、すでに考えてますよね!


   

 2010年10月の記事 京都・高麗美術館~「写真絵はがき」の中の朝鮮民俗

2014-12-23

 この2010年10月9日(土)、京都に行く所用があり、帰りがてら京都市北区にある「高麗美術館」に行ってきました。1910年の日韓併合の日本統治時代における絵はがきの展示会が開催されており、観てきました。


 こちらが高麗美術館。京都市北区の住宅地域内にあります。京都市地下鉄北大路駅からさらに北のところに位置しています。
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             下の写真が展覧会の書籍です。当展覧会開催期間は10月17日(日)までです。

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‥‥朝鮮王朝末期から日本統治時代の写真資料は本当に興味深いものがあります。なぜならば、やはり絵画よりも写真のほうが当然リアルであり、歴史の証拠品ともいえるからです。写真はレトロな朝鮮半島を知ることができ、現代へ連なる歴史の変遷が垣間見えることができます。


 2010年11月の記事 華南の都、広州とは‥‥。

2014-12-22

 今、アジア大会が開催されようとしてますが、今回の開催地は中国・広州。

‥‥中国の都市といえば上海や北京が注目されていますが、広州は華南地域の中心都市であり、人口は700万人をこえています。さらに流動人口(いわゆる農民工の方ですね)が400万人以上であり、1000万人を超える大都市である。
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~Wikipediaから抜粋~
「食は広州にあり」という、広東料理の中心地。香港の方が洗練されているかもしれないが、歴史的には広州が本場である。朝などに、点心を食べながら喫茶する飲茶の習慣がある。現在は、中国各地の料理店も林立しており、ハンバーガー、フライドチキン、ピザなどの欧米系ファストフード店やコーヒーショップ、香港風の茶餐廳、回転寿司店なども多い。

 中華人民共和国成立後も香港に近い広州は中国の対外貿易港として機能し、毎年春秋には広州交易会(カントン・フェア)が実施され続けている。79年、鄧小平が対外経済開放政策を取ると、深セン・珠海の経済特区を経済圏に収める広州は経済的に急速に発展を遂げた。しかし、多数の人口が農村から流入し、治安の悪化は社会問題となっている。

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                               広州交易会の様子。

【主な観光スポット】

~中山紀念堂~
 中山記念堂は中国民主革命の先駆者である孫文先生を記念するために出来た建築です。孫文先生は日本では孫文という名前で、よく知られていますが、中国国内では孫中山という名前で知られて尊敬されている。世界的にも有名な中山記念堂は、中国の古典的な建て方で、宮殿式の建物です。青屋根の丸い形で、北京の「天壇」に似ている。

~黄甫軍校~
 黄埔軍校は第一次国共合作期(1924–1927年)に孫文が創設した陸軍軍官学校で、ここから 多くの国民党、共産党の幹部、中国軍事、政治人材(例えば、孫中山、周恩来、叶劍英など)を育っていた。なお、初代校長は蒋介石。黄埔軍校は広州東郊の黄埔長洲島にあり、もともと「陸軍軍官学校」と呼ばれた、後、「中央軍事政治学校」の名称に改めた。黄埔軍校の旧址は全国重点文物保護単位で、広州市愛国教育基地となっていた。現在敷地内には、孫中山記念碑と銅像、孫中山記念室、軍校校舎及び黄埔軍校史料陳列館、軍校倶楽部、東征烈士墓などが残っている。


 2011年3月の記事より 書店人&出版人のエッセイ‥‥。

2014-12-16

~2011年2月の毎日新聞の記事より~

【ジュンク堂書店難波店店長のエッセイ】

 世界最大のネット書店Amazon(アマゾン)が「日本上陸」して10年を超え、昨年「上陸」したキンドルやiPadは、これまでの電子書籍とは違い、すぐに読めるコンテンツを十分に用意して登場した。今や読者は、家にいながら書物を宅配してもらい、コンテンツを即座に電子書籍に送信してもらうことができる。自宅のパソコンは、インターネットの情報の海に直結している。

 それでも人は書店にやってくる。何を求めて?

 それは偶然というものの魅力、出会いというものの不思議さだと思う。1冊の書物と読者の出会いの頼りなさに、その出会いの場となるこれまた頼りなげな書店空間に、人はむしろ解放性と可能性を見出す。
逆に、一見開放的なネット空間は、ある意味の閉鎖性を持つ事を避け得ない。書店の「頼りなさへの開放性=可能性」に対して、「頼りがいゆえの閉鎖性=必然性」と呼ぶべきか?

‥(中略)‥

 書店、出版という営為の存在意義を担保するのは、「まったく新しい本」、ネットの大海に沈められ、既存の価値観に無意識に伴われてピックアップされる情報ではなく、自らが存在とエネルギーを主張しながら生まれてくる書物なのだ。
旧態依然に満足して新しいものを生み出す力と勇気を失ったときに、出版社と書店は滅び行くのである。

‥‥ジュンク堂書店はもともと神戸・三宮の大型書店が中心であったが、90年代後半より全国に躍進。その当時バブル崩壊の後遺症による都心の地価下落により店舗の賃料落ちる。この状況により果敢にメガ店舗を拡大。いまや全国各地に店舗を持つ大手書店としてブランド化した。


【宝島社社長のインタビュー】

『出版科学研究所によると、雑誌や本の推定販売額は1996年の2兆6564億円をピークに2009年は2兆円の大台を割り込んだ。返品率も書籍で2009年に40.6%まで上昇した。一方、宝島社が10代女性の月刊誌を創刊したのが1989年。その読者の成長に合わせ、20代向け、30代向け、40代向けとラインアップを拡げてきた。20代向け「sweet」は昨年3回、実売で100万部を突破した』

‥(中略)‥急速に売上を伸ばすのにもっとも強力な武器は何か、と考えた結果が雑誌だ。「一番誌戦略」を掲げて、各世代向けの雑誌でそれぞれトップを目指した。1位になれば雑誌の売上はもちろん、広告収入も増大する。この目標の達成が増益増収に繋がった。今年は売上、純利益で業界トップを目指す最初の年と考えている。

‥(中略)‥どの出版社も考えたことがないマーケティング手法を導入した。日本の出版社は平気で「編集優位」などといって、営業や宣伝は編集の付録という考えでやっているところが多い。宝島社は編集以外の組織の長も「マーケティング会議」という同じ土俵に乗って実現のために汗をかく。そういう組織構造を作り上げた。
「価格」「流通」「プロモーション」「商品」、この4つの要素を徹底的に検討した。女性誌の価格の毎号変化させ、毎回特集も表紙のモデルも付録も変え、その号の中身をみて、いくらかなら読者に受け入れられるか考えた。
女性誌の付録も雑誌の編集者が直接開発に当たっている。大手の出版社もすぐに追いつけるとは思っていない。

‥(中略)‥出版界は「出版不況」という言葉に縛られすぎていると思う。経営者に伸ばそうという意志がない限り、売上増大は不可能だろう。

 電子書籍は読者に受け入れられないのでは?端末もコンテンツも売れたという話しを聞かない。

‥(中略)‥日本の出版社は米国の成功を見て「黒船襲来」と慌てて、計画のないまま電子書籍の団体を作ったところもあった。重要なのは、日本独自のビジネスモデルをどうするか。各社が徹底的に考えて開発しないと新しい事業が興るわけがない。

今語られている電子書籍には参入しないと思う。取次や書店といった出版流通を応援し、活性化しながら業界全体の盛り上がりを図っていきたい。もし電子書籍の普及が進めば書籍や雑誌のつぶしあいになり、逆に危機が深まる結果になりかねない。

 雑誌や本が売れないのは取次会社が返品を抑制するために配本部数を減らしたことも要因のひとつだ。一種のデフレ政策だから、ある程度改善すれば拡大策に転じるべきだと思うが、まだその方針は見られない。それより重要なのは出版各社の経営危機だろう。2、3年続けて赤字を出しているところも多い。電子書籍にうつつを抜かしていないで経営改善を急げといいたい。宝島社は、お客さまがワクワクするような棚つくりを書店に提案している。本を売るための必死の努力を傾けるべきだ。市場が縮小している今こそ経営改善のチャンスでもある。

‥‥サブカルチャー雑誌「宝島」でコアな読者層を掴み、そして私自身も20代のころにハマった「別冊宝島」。実は同人誌時代のWilleのコンセプトもこの「別冊宝島」や雑誌「宝島30」などをお手本にしたところがあった。「別冊宝島」においてはテーマは「ディープでコア」なものであり、表紙や全体の雰囲気、デザインはポップ。そして紙面はカラフルなものであった。

 人文書のような雰囲気では専門に研究しない人以外から敬遠されるが、「宝島」のような雰囲気では当時若い層でも大いに受けた(私もその一人である)。「マニアなモノをポップに扱う」ことによって僕自身に、大いに情報収集、知識の咀嚼を促進させてくれたのである!

この感じだと宝島社はまだまだ躍進が続くことでしょう!


 ~この日曜日は「すずなり会」参加。

2014-12-09

 先日の日曜日夕方は、関西の若手出版関係者の会の「すずなり会」に参加してきました。

 大阪市内・谷町4丁目にある雑居ビル6Fのフリースペース「空庭」というところで行われましたが、最近はこういうビルなどをいわゆる「コワーキングスペース」として有効活用しているそうです。さまざまな個人事業主やNPO法人の方がオフィスや活動拠点として使用している模様です。
 確かに自宅オフィスだと公私の区別がなかなかできないし、商談や打ち合わせなどは郊外の自宅ではやりずらいですね。だからこういうところは最適な場所です。

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 上の写真がすずなり会が行われた「空庭」です。街中にあるビル内の和室で、都会のオアシス的空間です。

 私はここで、取次業界に勤めた経験を含めた出版流通のお話しをさせていただきました~。微力ながら実務経験を語って少しでもお役に立てれば、と思っています。

 会の模様は撮影しておりません。ご了承くださいませ。

 続・韓流ビジネス記事 2010~2011年頃。

2014-12-08

                   ≪韓流ビジネス! K-POPガールズが現在日本で受ける背景。≫

                 ~週刊ダイヤモンド2010.12/25、2011.1/1新年合併号より~


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今年はK-POPの旋風が巻き起こった年であった。やっとK-POPが日本でも定着しつつある。

 K-POPガールズの一翼を担う「KARA」と「少女時代」。収録曲がすべて韓国語というアルバムが1位になり、日本の音楽関係者に衝撃をもたらした。なぜなら日本では、韓国人アーチストは日本語曲でなければ「売れない」というのが定説。以前にBoAや東方神起が切り開いた手法はこの2組のヒットによって覆された。

‥‥日本人は洋楽(特に英語曲)ならなんの抵抗もなく受け入れるが、韓国語や中国語の曲ではまずヒットしないのがあたりまえ。日本人のエンタメ観が大きく変化している証拠だ。

 彼女たちが売れる背景には、まず韓国のエンタメ界の市場規模の小ささゆえ、中華圏や日本をターゲットにしないといけない事情がある。
 韓国の音盤産業規模は、金額ベースで世界第2位の規模を誇る日本の30分の1ともいわれ、さらに不法ダウンロードも多いため、韓国内では収支が合わない。その結果アジア全域に市場を求めることになったのだ。このあたりの危機感はサムソンや現代などの電子産業や自動車産業と同様の構造だ。
 そして東方神起の内紛に連なる活動停止という事態が、一部の東方神起ファンがK-POPガールズへと流れた。その結果、K-POPガールズ大爆発という現象を引き起こしたのだ。
 日本ではAKB48のような庶民性とは対照的にK-POPガールズは歌唱力もあり、ダンスもうまく、そしてスタイルもいい。現在の日本のPOP歌手ではこうはいかない。

‥‥いよいよ日本も音楽もグローバルな時代が到来したのだろうか?興味津々ですね~。

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                    ≪韓国経済‥‥「財閥は成功、国民は冷や飯」≫

                    ~週刊エコノミスト2011.2.1号より~

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昨年の韓国の国内総生産(GNP)は1兆ドル超だが、貿易額は9000億ドル弱で、貿易依存度は80%を超えている。2011年が貿易1兆ドルとなれば、貿易依存度は90%を超える可能性がある。ここまでの海外依存度の高さはむしろ、韓国経済の内需の弱さ、または海外要因に振り回されやすい弱点と捉える時期にきている。

 なぜ韓国経済がこれほど海外に依存する体質となったのだろうか。古くからある財閥支配の経済構造と、97年のアジア通貨危機後に政府が舵を切ったグローバル化・経済構造改革路線によってもたらされたものと考えている。
韓国の財閥支配の状況は「サムスン」、「現代」、「SK」、「LG」、「ロッテ」の5大財閥グループが国民経済に占める割合は極めて大きい。5大財閥の売上高の合計はGDPの7割程度に達するとみられている。

‥‥ちょっと日本の経済構造では考えられない仕組みだ。日本も巨大企業、大手、中堅、中小、零細などの企業がバランスよく存在しているのかも。

財閥偏重の経済構造と、アジア通貨危機後の大胆なグローバル化路線が複合されたのが現在の韓国経済の姿である。確かに財閥系企業の海外戦略など、そのエネルギッシュな経営は日本などでも評価が高い。だが最近は、家計負債の急増、庶民経済の悪化、失業率の上昇など財閥中心のグローバル化の「影」を糾弾する声が高まっている。

アジア金融危機以降からはグローバルに金融市場を開放してきたが、外国資本の動向に左右される度合いが強まる一方、中小企業の投資を増進するための資金提供機能が十分果たせていない。この結果、財閥系企業と中小企業の間の収益不均衡は膨らみ、貧困層も増加している。

 韓国財閥企業のオーナー経営のビジネス手法は、時には無謀なほどに果敢な投資を断行し、競合相手にキャッチアップするのが得意技だ。財閥一族の企業家精神などが原動力になっている。 しかし、このまま財閥・輸出主導の経済モデルを突き詰めて社会的な紐帯は維持できるだろうか? 国民の間では「韓国型財閥の成功から多数の国民は冷や飯を食わされている」という気持ちが出始めている。

‥‥ここ1~2年で韓国経済は飛躍しているように見えるが、実態は大手財閥のみで、この構図は30年ほど続いている。基本的な構造は変わっていない。韓国を訪れて雰囲気を見ればそのあたりは依然感じる。この経済構造はいつになったら変革できるのだろうか?私からみるといつも韓国経済のアキレス腱としか映らないですね。 この辺りがまだまだ日本経済の優位性を感じる次第でありますね!


              ≪韓流ビジネス!~韓国の大手新聞社、テレビ事業に参入≫

                    ~2011.2/28(月)の毎日新聞より~

 韓国の大手新聞社・通信社が最大株主となる五つの事業者が、ケーブル網を通じて全国に番組を発信する放送局として、テレビ市場に参入することが決まった。既存の地上波3局(KBS、MBC、SBS)に加え、大手メディア資本を基礎に誕生するテレビ局が競争を繰り広げることになる。

‥‥この出来事は「韓流ブーム」を巻き起こした韓国映画・ドラマの質向上と国際市場での競争力を期待する一方、広告の取り合いによるメディアの生き残り競争が激化するとの見方が。

 韓国のマスメディア事情といえば、1980年の光州事件を鎮圧した全斗轘煥将軍(後の大統領)が言論統制のため地方紙を各道1紙に規制し、放送局を公営のKBS(韓国放送公社)と半官半民のMBC(韓国文化放送)の2局に統合。
さらに新聞社と放送局の事業兼営を禁止するメディア規制策を断行した。民主化ののち、新聞社の規制は緩和され、自由化されたが、新聞の放送規制はそのまま維持されてきた。

‥‥日本ならTBS系列⇒毎日新聞系、TV朝日⇒朝日新聞系、フジ系列⇒サンケイ新聞系、日本TV系⇒読売新聞系、と大手新聞と放送局の兼営は当たり前だが、ここが韓国と日本の違いだ。実のところ、このあたりが両国の世論形成の違いをあらわしているのかもしれないですね。

 韓国の新たな放送網は「CSTV」(朝鮮日報系列)、「jTB」(中央日報系列)、「チャンネルA」(東亜日報系列)、「毎日経済TV」(毎日経済新聞系列)の新聞系が参入。報道専門局に参入申請が決定したのは「聯合ニュースTV」。

‥‥初めて韓国に訪問した2002年ころは、地上波が日本に比べて少なく、代わりにCATVの多さにビックリしていた。その背景にはこういった事情があったのですね! 10年ほど前に韓国の家庭に入った時はすでに、「大型プラズマTV」、「CATV」、「大型給水器」が当たり前であり、日本と韓国のギャップ感じましたね~。

今後の韓国訪問の際、テレビを観るのが楽しみですね。

 2010年3月・8月の記事 韓流ビジネス云々‥‥。

2014-12-08

≪韓国財閥サムスンに学ぶビジネス戦略≫


~週間エコノミスト3/30号より

 TVや新聞、雑誌の経済報道で韓国系の「サムスン」が先進国や新興国市場で勢いを増している。かつての日系企業の世界制覇を凌駕するがごとく、その存在感はゆるぎないものとなりつつある。
サムスンがグローバル市場で競争力を高め、成功している原因は何か。それには3点が指摘できよう。

 第一に、ある製品のブランドを高め、それを自社の製品に波及させていくという「製品ブランド力の移転」構図だ。例えば、自社の強みである携帯電話である程度のシェアと認知力を獲得し、それを液晶テレビやLED液晶テレビに反映していくという戦略。そのブランドイメージは多くのAV機器や生活家電の販売増に繋がっていく。

 第二に、地域間にわたる成功のノウハウを移転していくパターンである。まず欧州でシェアを獲得し、その流れで米国市場に展開し、一定の収益とシェアを確保。その後BRICSやMEA(中東アフリカ)地域のような新興国の開拓に向かうパターンである。代表的な例はサムスンの液晶テレビ「ボルドー」ブランドだ。ワイングラスのようなディスプレイで、06年には欧州でトップシェアになったという。
その効果がMEA地域に波及し、グローバルシェアを伸ばすこととなった。

 第三は販売促進等の積極的な投資だ。新興国でもプロモーションを積極的に行い、スポーツやイベントにも積極的だ。そして人材への投資。「地域専門家制度」という独自な制度で、入社3年目以降の社員300人を毎年1年間、世界各国に送り出し、語学研修や地域調査、人脈作りなど、現地文化を理解するための様々なことに取り組ませている。09年までに60カ国700都市に約3800人を送り出し、最近はMEAや中南米地域などの新興国が増加傾向だという。給料とは別に現地費用として1人あたり約1億ウォン(約800万円)を会社が支援する。この点は日本企業では考えられないシステムだ。

‥‥日本は以前からのブランドイメージの余力で展開しているが、サムスンは市場がまだ黎明期から徹底して先行し、現地ニーズにあった戦略と販売チャンネルを構築している。まあ、グローバル化以前の時代は先進国は日・米・欧の企業が席捲していたので、ニッチなところを攻略したということになる。日本企業もまだまだサムスンよりも考えの及ばない戦略が必要ですね~。グローバル経済の今日は、弱肉強食。ある意味恐ろしいものですね!


≪韓流ビジネスと日本市場≫

~「週刊東洋経済10.7.31号」より抜粋~

 すでに日本でも娯楽のひとつとして定着した韓流。だが、その定義を一口で言うのは難しい。韓国国内でも韓流とは大衆文化的なコンテンツが中心としながらも「時代によって柔軟に変わる」というのが考え方だ。これは、「芸能関係のコンテンツだけが韓流ではないということ」と韓国コンテンツ振興院日本事務所の金泳徳所長は説明する。

 例えば。日本でも大人気を博したテレビドラマ「チャングムの誓い」では、劇中紹介される朝鮮王朝時代の宮中宮廷料理が注目され、韓国料理料理への関心も高まった。このような食文化への関心も、ひとつの「韓流」に入るというわけだ。
 韓流の定義があいまいな分、ビジネス上の需要予測も非常にしづらい。統計をとるためにどんな手法を使っても「韓流ビジネスの一断面しかつかめない」(金所長)。そのため、輸出先の市場規模や購買力、事業展開もはっきりしない。もともと文化とはそういうものでもある。

‥‥文化産業というのははっきり言ってマーケティングが読みづらいものだ。「個人の文化」なんていうのは「自己満足の世界」がほとんどであるといっても過言ではない。

 それでも韓国政府によると、韓国のコンテンツの輸出規模は18.8億ドル(08年)と、前年より20%拡大しており、この数年は右肩上がりだ。
 韓国政府による文化支援策による効果が大きいといわれる韓流だが、実はそれほど大々的なものではない。コンテンツの普及や広報支援、そして映像機器などのハード面での支援だ。前者は海外市場を狙う企画会社などの補助金や、企画公募で大会を開催し創作を促すもの、後者はデジタルメディアセンターなどのインフラを整備し、技術的な支援や人材育成を行う政策が中心だ。以外にも地道である。韓流といえば一般的にはテレビや映画コンテンツが大部分を占めるような印象があるが、実は韓国から輸出されるコンテンツではゲーム関連がもっとも多く、テレビドラマや映画は以外にも10%未満に過ぎない。

‥‥実は韓流ビジネスの主流は実は「オンラインゲーム」ということだ。韓国へ訪れた際、ホテルのCATVの中には「ゲーム対戦チャンネル」なんていうのもあった。プロゲーマー同士がホールスタジオの中で対戦し、白熱した観客も多数だ。ゲーム機大国日本でもあり得ない風景である。

 韓流の市場としての持続性は日本が一番だという。
例えばドラマの場合、放送版権がビジネスの入口になり、その後のDVDやCDの制作・販売、出演俳優の写真販売、コンサートやファンミーティンングの企画、関連グッズの販売、全国ツアーと一つのコンテンツでマスからニッチまでうまく展開できるのは日本のみであるという。

‥‥この店は日本は腐っても(?)先進国、経済大国。社会が複雑化されている分、マスやニッチな部分の余地があるのだ。

 韓流の登竜門ともいえる「冬のソナタ」だが、日本では「郷愁感」が人々の心をつかんだが、中国や東南アジアでは、先進的な面がある一方、伝統的な価値を残す韓国社会に親近感を覚えるそうだ。

 今後のマーケットはやはり中国と米国になる。中国はその市場規模と潜在性、米国は世界に通用するビジネスモデルを作り上げるためだ。

‥‥韓流ブームは6年前ほど前に予想したとおり、日本では日常の文化になりつつある。なぜなら若者層より、中高年層に受け入れられからだ。これからは韓流ビジネスも細分化されていくであろうが、まだまだ可能性の余地は十分だ。

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